大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和39(オ)1260 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人江川六兵衛、同馬場正夫、同平井博也、同持田幸作の上告理由第一点

について。

上告人および被上告人は、原判決判示調停において従前の賃貸借契約が解約され

たことを前提として、本件建物が行政財産に属することを相互に認めて、あらたに

国有財産法の規定による本件建物の使用を合意したものと認めるのが相当である旨

および本件無断転貸が背信行為ではないとの上告人の主張は採用できない旨の原判

決の各判断は、その認定した事実関係に照らして是認できる。また、被上告人は本

件建物の使用許可条項に従い上告人の無断転貸を理由として昭和三四年三月末日限

り上告人に対する本件建物の使用許可を拒否したものであること原判決の確定する

ところであるから、昭和三四年三月末日をもつて本件使用関係が終了したとの原判

決の判断は正当であつて、原判決には何ら所論の違法はない。論旨は、すべて採用

しえない。

同第二点について。

原判決認定の事実関係のもとにおいては、上告人が政財界D社に本件室を無断転

貸したことに賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特別の事情があるとは認

められないとした原判決の判断は正当であり、原判決には所論の違法はない。論旨

は採用できない。

同第三点について。

原判決は「右室の立退問題は本訴提起当時までに解決されていなかつた」ことを

認定しているに止り、本訴提起当時政財界D社が依然本件室を占有していたと認定

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しているものではないのみならず、原判決の右事実認定はその挙示の証拠に照らし

肯認でき、原判決には所論違法はなく、論旨は原判決を正解しないもので採るを得

ない。

同第四点について。

本件建物の所論使用許可書に示す使用条件は、何ら国有財産法に違反するもので

はない。論旨は、すべて国有財産法を独自の見解で解釈するものであつて、採用す

ることはできない。

同第五点について。

原判決は、原判決判示の調停において、上告人および被上告人は、本件建物が行

政財産であることを認め、国有財産法の規定により本件建物の使用を上告人に許し、

被上告人の定める許可条項に上告人が違反したときは、被上告人はその使用許可を

取消し目的物件の返還を命じ得ることを相互に合意して、上告人に本件建物を使用

させていたこと、および上告人が無断転貸禁止の許可条項に違反したので被上告人

は昭和三四年四月一日以降の使用許可を拒否したことを認定して被上告人の本訴請

求を容認しているのであり、右原判決の認定判断は、正当であつて何ら違法のない

ことは、第一点ないし第四点に判示したとおりである。そして、被上告人の上告人

に対する本訴請求が権利の濫用にあたらないことも明らかである。所論憲法二九条

違反の主張は、原判決に違法あることを前提とするものであるところ、原判決に何

ら違法はないのでその前提を欠き、採用することはできない。論旨は理由がない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 田 誠

裁判官 入 江 俊 郎

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裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 大 隅 健 一 郎

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